中央区築地に、まさに市場の移転と同時期に建てられた集合住宅です。長く続いた“市場の街”が解体され、どんな姿に生まれ変わっていくか、そんな地域的課題がある中での計画でした。長年この地に住むオーナーは、新しい街に変換していくきっかけを作りたいと考え、多様な人々が暮らせる場を作ろうと考えました。1フロア1住戸として住環境の充実を図ると共に、多用な利用に対応すべく、外部空間を含めてすべて異なる間取りにしています。庭いじりをしながら暮らす、仕事をしながら暮らす、家族、優雅な一人暮らし…。その様相はファサードと建物裏側にある共用部に現れます。その関係は、“場外”と“場内”という関係によって成り立っていた築地という街の姿にも通じます。人々の暮らしが滲み出てコミュニティが生まれ、新しい『住まいの市場』が誕生します。