計画地は古い建物と新しい建物が混在する住宅密集地の一角にあります。幅員1.8mの前面道路は、車も通らず、のんびりとした空気が漂う裏路地です。内部空間は、駅から下町風情溢れる商店街を抜け、徐々に細くなる路地がそのまま立体的に展開する構成としています。4組の住人はくねくねと旋回しながら、路地のようなスケールの階段を上り下りします。植物や自転車が路地にはみ出て、それをすいすいよけながら歩くように、住人は自分の好きなものをよけ、時に跨いでいきます。その過程で各方位に設けた窓から垣間見える隣家の壁や屋根、空...それらの連続的な体験は、まさに路地を歩く時のそれと同じです。みんなで寄り添い、環境を享受しながら、下町特有の心地よい中に暮らす、そんな小さなアパートです。